XXXテンタシオンは1998年生まれのアメリカのラッパーです。人を見ためで判断するのは良くないことですが、彼に関しては見た目通りのワル。極悪エピソードが多数報告されています。
17歳で特に若い人たちの間で絶大な人気を獲得しましたが、20歳で何者かに拳銃で撃たれ、亡くなってしまいました。
今回はそんな彼の人生と短い(短くなってしまった)ながらも華麗な音楽キャリアを見ていきましょう。
XXXtentacion(テンタシオン)、本名Jahseh Dwayne Richardo Onfroyは1998年にフロリダ州のプランテーションという街でジャマイカ系の両親の元に生まれました。
母親と暮らしていたり、祖母と暮らしていたりしていた時期があったことを明かしています。彼の母親は、テンタシオン本人がいうところの「彼に構うことが出来ないような状況」であったため、祖母が世話をしたということでしょう。
また6歳の時には、彼の母親に干渉してきた男を刺そうとして少年更生プログラムに参加させられたりしたそうです。
詳しくは語られていませんが、家庭環境はあまり良くなかったようです。
2012年頃から(10代前半の頃)ラップはもちろん、ニューメタルやハードロックなどの音楽に興味を持ち、独学でギターやピアノを習得しようと試みていたそうです。
ミドルスクール在籍時代、音楽に興味のあるテンタシオンを見た母と叔母のすすめで学校の合唱隊、教会の合唱隊への参加を勧められます。しかし、他の生徒を殴ったことが原因で学校を追い出されてしまいました。
高校へ入学しても、10thグレード(日本でいう高校1年生)の時に退学してしまいます。この時のことを、暴力沙汰を起こすような人物であるにも関わらず内向的で、運動が得意なタイプでもなかったため非常に暗く落ち込んだ時期であったと自身が後に語っています。
2013年に、自身で作った曲「News/Flock」をサウンドクラウドへアップします。その後も続けてサウンドクラウド上で曲を公開していくことになります。そのため、テンタシオンはサウンドクラウドラップと区分けされるミュージシャン、もしくは音楽性の代表的なミュージシャンであると認識されています。
この時期に「Ski Mask the Slump God」というラッパーと知り合い、フリースタイルラップをするなどして親交を深めます。
また、前後は詳しく分かりませんが、同時期に銃を所持していたことが原因で少年院で拘留されるということも体験しています。
この経験を本人は「拘置所では刑務官や他のスタッフに真摯に対応していたし、周りの人たちを他の厄介な受刑者から守ってやっていた」と語っています。しかし着替えの時に彼のことを見つめていたからと、同性愛者の受刑者を攻撃するなど、暴力的な振る舞いは続いていたようです。
拘置所を出たテンタシオンはSki Maskと再会し、お金を得るために住居強盗を計画します。
しかし実行せずにBlue Snowballというブランドのマイクを購入。レコーディングを行うためでした。Ski Maskもこれで気持ちが変わり、強盗計画は白紙に。Ski Maskも楽曲制作に取り組むようになります。そしてXXXTentacion名義で、サウンドクラウドへ「Vice City」という曲をアップロードしました。
犯罪に手を染めるか、音楽を追及するか、彼にとって非常に重大な人生の決断でした。この時、彼は音楽の方が犯罪よりも感情のはけ口として適していると感じたそうです。ガールフレンドの手助けもあって、この考えに至ったとのこと。
その後も、曲のアイデア(完成された曲ではない作品)をサウンドクラウドにアップし続けます。そして、Ski MaskとVery Rareというユニットを結成。
さらに2014年、今度はテンタシオン主催でMembers Onlyというコレクティブを結成。コレクティブは日本語訳が少し難しいですが、イメージとして「集団」、おのおのが個人で活動しつつも、コラボなどを頻繁に行う仲間たちという感じです。
2014年11月にはThe FallというXXXテンタシオン名義で初のEPを発表。SKi Maskと共作でMembers Only Vol.1というアルバム、さらにMembers Onlyの仲間たちとMembers Only Vol.2というアルバムを2015年にリリースします。
2016年には「Willy Wonka Was a Child Murderer」というEPを発表。楽曲にも人気が出てきていたため、コールセンターの職を離れ音楽活動に専念することにします。
精力的に音楽活動を行う最中のことでした。2016年7月に、強盗と致死性ある武器による暴行のために逮捕されてしまいます。100万円の保釈金を払って釈放されます。
初のインディーアルバム「Bad Vibes Forever」は2016年10月31日にリリースされる予定でしたが、10月初めごろにまた逮捕。この逮捕の理由は、妊娠中の彼女を監禁・暴行し、さらにこのことを知っている周りの人にお金を払って口封じしたためという最低のものでした。
この時テンタシオンは18歳です。
XXXテンタシオンの曲の中でも最も人気のある「Look At Me」。この曲のプロデューサーの一人であるRojasのサウンドクラウドで2015年末に視聴可能になり、2016年1月末にはダウンロードも可能となっていた曲です。
この曲がテンタシオンの音楽キャリアの転機となります。というのも、2017年1月から2月にかけて人気が急に爆発したのです。ビルボードホット100チャートの34位につけるほどの勢いでした。
原因は、ネットで出回ったある噂。有名ラッパー「Drake」が2017年1月のライブで演奏した未リリース曲「KMT」のラップフロー(ラップの歌い方)が「Look At Me」のそれと似ている、というかパクリでは?とファンの間で話題となったためです。
この噂をきっかけに「Look At Me」に注目が集まりました。当時逮捕されていたテンタシオンですが、解放されてすぐにファンたちとビデオSNSなどを用いて連絡をとり、ドレイクを非難しました。
後にドレイクは「Look At Me」を聞いたことはなかったし、ライブで演奏した後に「Look At Me」に似ているというコメントがSNSで寄せられているのを見て、実際に検索し聞いてみたが、確かにリスナーが似ていると感じるのも理解できる、とコメントしました。
逮捕中に「Look At Me」がネット上で爆発的に話題を呼び、本格的に人気を獲得し始めたテンタシオン。メジャーレーベルが6桁ドル(数千万円になる)のオファーを出しますが断り、Empire Distributionと金銭的にはメジゃーレーベルには劣る契約にサインします。
しかし、楽曲制作に関する方向性は全てテンタシオンが持つ、という契約となりました。
同時期に、テンタシオンが命を落とすまでマネジメントを務めた「Soloman Sobande 」とマネージャー契約をしており、そのアドバイスもあったのかもしれません。
2017年4月に釈放されたテンタシオンは、再びサウンドクラウドへ楽曲をアップロードし始めます。また、インタビューなどでアルバムやミックステープの製作に取り掛かったこと、全米ツアーの開催を発表しました。
しかしこのツアーでも暴力事件が発生。ライブで観衆の1人が刺されたり、ステージ上に上がってきた人物と口論になった末に顔面をパンチされてノックアウトされたり、ステージ上から観衆に向かってテンタシオン本人が仲間に投げ込んでもらうはずが誤ってバリケードに投げ飛ばされたり、ファンを殴ったり。
これらの事件をメディアがこぞって紹介したため、良くも悪くも知名度は増幅することに。
2017年6月には従妹が撃たれて亡くなったというのを理由に残りのツアーをキャンセルすると宣言しましたが、フロリダでのツアー最終ライブは無事行われました。
2017年5月にミックステープ「Revenge」をリリース。「Members Only Vol.3」というミックステープが6月にリリースされます。
そして8月末に「17」がリリース。ビルボード200チャートで2位につける大ヒットを記録、さらに音楽誌による評価も「テンタシオン自身の物語と多様な音楽性が詰め込まれた作品だ」というような好評を得ます。
ただし、もちろんただで終わるテンタシオンではありません。アルバムリリースのプロモーションのために自身のインスタグラムストーリーズに投稿した動画が「テンタシオンが首を吊っている」3秒ほどのものであり、一部の勘のいい人を除いて、最悪の事態が起きるのではと多くの人たちが困惑したのです。
後にプロモーションと発覚してから、「やりすぎだ!」と非難が殺到。これにテンタシオンは、さらに数本の同様のストーリーズを投稿。ですが、後に謝罪しました。
2017年9月には「Look At Me」のPVがYoutubeにアップされるも、その過激な内容(白人の子供がステージ上で吊り下げられているといったようなもの)から批判が殺到。ビデオはyoutubeから削除されます。
さらに、テンタシオン曰く、クークラックスクランという白人至上主義団体からの強迫メッセージも届いたとのこと。
2017年10月19日に、テンタシオンのレーベル「Bad Vibes Forever」の流通のためにCaroline Recordsと契約しますが(1つのアルバムのために600万ドル=6億円が支払われることになっていた)、25日に契約の取り消しを発表。
その2日後には引退を宣言。音楽制作に乗り気でない事や反発などが理由とのことでした。しかし、一部のメディアはテンタシオンが以前にも同様の発言をしており、しかし結局引退しなかったことを指摘。
結局10月30日にテンタシオンはもう一度楽曲制作に取り組むことを発表。しかし、最高の友であったSki Maskがもう一度友達となってくれることを条件としました。
2017年11月に楽曲制作に復帰し、11月17日にアルバムタイトルが「Bad Vibes Forever」、レーベルと同名なることを発表しました。
テンタシオンのYouTubeチャンネルは楽曲やゲームプレイ動画、日常動画などを投稿するために使われていました(2018年10月の時点で1300万の購読者がいるほどの規模)。
2018年の3月に、「#THEHELPINGHANDCHALLENGE」という動画を投稿。これはテンタシオンが楽器やゲームのコントローラー、そのほかの贈り物を児童養護施設に送る、というプロジェクトでした。
同時にアルバムは完成しているが、インスタグラムで「#THEHELPINGHANDCHALLENGE」が100万メンションされなければリリースしない、とコメント。
いくつかアルバム収録のシングルを先行配信した後、2018年3月16日にアルバム「?」がリリースされました。テンタシオンにとって初のアルバムチャート1位を記録するほどの成功を納めます。
「?」のリリース間もなく、3枚目のソロアルバムのためにEmpire Distributionと1000万ドル(およそ10億円)の契約を結んだことを発表します。
2018年6月18日、テンタシオンがフロリダのカーディーラーを出発した後、推定午後3時55分、駐車場を出ようとしたところ、黒のSUVが立ちはだかります。
SUVから2人の武装した男が降り、テンタシオンの乗る車へ近づきました。自身の車の運転席にいるテンタシオンと小競り合いをした後、武装した男の1人がテンタシオンの車に乗り込み、金目のものを盗ったうえでテンタシオンを数回銃で撃ったとのこと。
犯人はそのまま逃走し、テンタシオンは近くの病院へ搬送されましたが、亡くなってしまいました。
事件の2日後に、容疑者と思われる人物の1人が逮捕。その後8月7日までの間に事件への関与が疑われる4名の男が逮捕されました。いずれも20~22歳の若い男たちでした。
6月21日にテンタシオンの死後初の彼の楽曲リリースが行われました。
その後、アルバムからの先行シングルリリースや、様々なミュージシャンによるテンタシオンをフィーチャーした作品が発表されます。
2018年10月にマネージャーのSoloman Sobandeが、3枚目のアルバムはもうすぐリリースされるということを発表。12月7日に「Skins」がリリースされました。
また、2019年1月にはMembers Onlyのメンバーが、テンタシオンが残した曲などを含むミックステープ「Members Only Vol.4」を発表しました。
最もヒットした曲はアルバム「?」からのSAD!でしょう。テンタシオンの死により注目度がさらに高まるという出来事もあるのですが、それでも人気曲であることに変わりありません。
彼を出世させたこの曲も忘れてはいけません。テンタシオン初期の衝動的な激しい楽曲です。
暴力と波乱に満ち溢れたテンタシオンの生涯を紹介しました。本格的に活動を始めた17歳から20歳までの間に、これほどまでの人気と批判を集めて、ファンを獲得したミュージシャンは他にいないのではないでしょうか。
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