EYS音楽教室のストライキ事件とは?理由とその後をまとめて解説

日本全国に展開しているEYS音楽教室。かつて、所属する一部の音楽講師たちによるストライキが行われたことがありました。事態について詳しく解説します。

まずはストライキの概要

ストライキとは

ストライキとは、労働者(雇われて働いている人たち)が、雇用者(給料などを払い労働者を雇っている人たち)に対して、条件の改善などを求める抗議のため、「労働を行わない」ことです。

また、労働者を守るために法律で定められている「労働者の権利」のひとつでもあります。

ストライキをする側にとっては、雇用者へ口頭で不満を伝えても対応する様子が見られないために行う抗議、される側にとっては労働者による営業妨害と言い換えることも出来ます。

ストライキをするとどうなるのか

ストライキにより大勢の社員やパート、アルバイトが一斉に仕事を休むと、会社はその間運営がままなりません。例えば、サービスや製品に対してお金を払ってくれているお客さんがいても、そのお客さんに対応するスタッフがいないのです。

また、ニュースなどで報道も行われるため企業のイメージが悪くなります。


そうなると雇用者は「話を聞くから落ち着いてくれ」という姿勢を見せます。そして、労働者側は「改善してくれるなら、ストライキを辞めてやる」と条件を提示します。

誰がストライキをするのか

基本的には、その雇用者に雇われている労働者の多くが参加します。ある特定の労働組合に、その労働者たちの多くが参加している場合は、労働組合もストライキに協力することが多いです。

ストライキ中に労働をすることは、ある種の「裏切り」となってしまいます。これはスト破りと呼ばれており、同じ労働者から反感を買ってしまいます。

実際にストライキを行うのは労働者ですが、ストライキにもルールがあるため(法律でストライキでやっていいこと、手順などが定められている)、弁護士が携わることも多いです。

ストライキ事例:プロ野球界(2004)

▲ 上のイメージ画像はストライキではなく、デモに近い。

ストライキは世界各国で事例があります。EYS音楽教室のストライキ事例を見る前に、日本で過去に起きたストライキの事例を見てみましょう。

まずは、日本プロ野球界で2004年に起きたストライキ。大阪近鉄バファローズのオーナー会社が財務的に厳しかったため、オリックス・ブルーウェーブとの合併、その先に2リーグ12球団制(日本にはセリーグ、パリーグの2リーグがある)を、1リーグ制に移行し球団数を減らそうという見込みもありました。

これはつまり、1軍で活躍できる選手の数が減ることになるため、野球選手としては大変です。また、原因は選手側の失策ではなく、経営者・球団オーナー達によるもの。それに振り回されてはたまったものではありません。

そこで、日本の野球選手が所属する労働組合「日本プロ野球選手会」は12球団制の維持などを求めて交渉。決裂したためストライキが行われました。その間、もちろん試合は行われません。

最終的には12球団制の維持など選手会の求める条件に経営側が合意し、ストライキが解消されました。

EYSのストライキ詳細

▲ EYSの講師たちはどうしてストライキを起こしたのか?

ストライキが起きた理由

音楽教室EYSを運営する株式会社EYS-STYLEに対して、平成25年に正社員・契約社員の講師たちがストライキを決行しました。

ストライキを行ったのは、講師たちの主張する「株式会社EYS-STYLE」の不手際を、認めさせたうえで対応してもらうためです。

具体的には以下の3つが労働者側の主張でした。


【1】残業代の未払いが発生している

【2】報酬に設けられたボーナス・ペナルティ制度に関して、ペナルティが厳しいまたは違法である

【3】ある講師の10時間連続があった


これらを認めたうえで、交渉のうえで未払い報酬の支払いやペナルティの撤廃、勤務時間管理の見直しを行うこと、が要求されました。

ストライキが起きるまでの流れ

平成25年7月、EYS音楽教室の講師たちは、労働組合を通して労働条件改善のための交渉を行おうと試みました。

8月、EYS側は顧問弁護士を通して、労働組合と交渉のスケジュールや内容調整を行いつつ、ペナルティで減額された分の報酬や、未払い残業代の支払いを済ませました。

9月、EYS側が交渉の際は双方3名の代表者が参加するよう希望、一方労働組合は15名参加を希望。EYS側はそれでも3名ずつ代表者を出すことを要求し続けたため意見がもつれ、スケジュール通りに交渉が行われませんでした。

これを理由に9月21~22日にかけてストライキが行われました。

ストライキの内容

ストライキでは、講師たちが楽器などをもって、音楽教室のある銀座や西新宿街頭で演奏を行ったり、このストライキについて説明するビラ配り、スピーチなどを行いました。

その間、予約されていたレッスンは行われていません。

ストライキのその後

その後は、交渉の機会が設けられたようです。上述の通り、未払い分の報酬については支払いが済み、ペナルティ制度も撤廃されました。

また、労働時間の管理をより厳格に行うことも認めさせることが出来ました。

ただし、現在多くの会社で導入されている「基本給+固定残業代」という報酬制度に関しては、法律の範囲内であり変えるつもりはない、というのがEYS側の主張。これに関しては、その後も交渉が行われていったようです。

この件を機に辞めてしまった講師や、在籍し続けている講師は様々だそう。評判も落ちていましたが、2017年頃からは復調しているとのこと。

利用者やこれから利用を検討している人はどう受け止めるべき?

講師たちの環境が改善される良い機会となった

俗にいう「ブラック企業」であったEYSに対して、改善を求めて抗議活動を行った講師たち。とても行動力がありますよね。

同様のブラック条件で労働者を縛り付けている企業は残念ながら多く存在しています。EYSに関しては、講師たちの勇気ある行動で、条件が改善され、経営陣もこれまでの姿勢を見直すことが出来たわけです。

このストライキを機に、未払い報酬の支払いが行われ、ペナルティ制度も廃止。今後このようなことが起きることは無いはずです。

つまり現在、EYSの講師たちは以前よりも良い環境で働くことが出来ています。より良いサービスを提供してくれることは間違いありません。

【総括】EYSのストライキとその後について

以上、EYS音楽教室の講師たちが取り組んだストライキについて詳しく解説しました。本記事が参考になれば幸いです。

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