ベース・コントラバス奏者。
これまでに100人以上の歌手のサポートを国内外で務めるかたわら、さまざまなレコーディングにも参加。さらに「Annie」をはじめとして宝塚歌劇団や東宝のミュージカル作品にも多数参加。近年では渡辺麻友のサポートや様々なセッションライブやレコーディングでも活動中。
自身のブログでは日常生活やライブ出演情報を発信。またブログにも掲載されている通り、ベースレッスンも行っている。
初心者の大半は曲が早く弾きたくて「タブ譜」に頼ります。
「タブ譜」だけだと音ではなく指板の場所として捉えるので音楽的な意味は理解していないから応用が効かず、その後バンドを組んで「オリジナルを作ろう!」なんて話になっても自分でベースラインを作れないという悲劇が起きます。
この悲劇を避けるために「異弦同音」の理解は重要です。
ベースを持った時に一番下、床側に来る最も細い弦を1弦、その隣が2限、その隣が3弦、そして1番上、天井側に来る最も太い弦が4弦です。左手でどこも押さえない弦が開放弦です。
まず開放弦の音を確実に覚えましょう。
・4弦の開放=ミ(E)
・3弦の開放=ラ(A)
・2弦の開放=レ(D)
・1弦の開放=ソ(G)
このように決まっています。
音の高い、低いの最も細かい単位を「半音」と言います。
また半音二つ分で「1音」もしくは「全音」と言います。
ベースの指板上の鉄の線を「フレット」と呼び、そのフレット一つ分が「半音」です。
指板のどこかを押さえてその一つ隣のベースのボディー側が「半音上」、一つ隣のヘッド側が「半音下」です。
4弦ベースなら、「最も低い音」は最も太い4弦の開放弦です。その音はミ(E)でベースで使用する「ヘ音記号」だと、以下の位置です。
その開放弦の半音上が1フレットの場所です。
音楽の大原則ですが、ドレミファソラシドのミとファ、シとドの間隔は半音で後の音の音の間隔は1音という事を理解して下さい。
従って4弦の開放弦がミで、その隣の同じく4弦の1フレットは半音上なので、ミの半音上だからファという事です。
ヘ音記号だと以下の場所です。
ここから順番に半音ずつ上がってみましょう。
ここで、#(シャープ)と♭(フラット)が必要です。
#=半音上げて
♭=半音下げて
という指令です。
4弦の1フレットがファでした。次のソとの間隔は1音です。なのでソの音はフレット二つ分の4弦の3フレットになります。
4弦2フレットの音は「ファが半音上がった音=ファの#」、又は「ソが半音下がった音=ソの♭」となります。このように事実上同じ音を「異名同音」と言います。
以下、どちらも4弦の2フレットです。
ちなみに下画像が4弦3フレットの「ソ(G)」です。
ここまでと同様に更に半音上がると4弦4フレット、これはソの#、またはラの♭です
ここまでの5箇所の低い音(4弦開放、1・2・3・4フレット目)は4弦にしか存在しません。さらに半音上がった4弦の5フレットは「ラ(A)」です。
この「ラ(A)」(4弦5フレット目)は何と、3弦の開放弦も同じ「ラ」なのです!
つまり、この音から高いは音(4弦の5フレット目以降)は、同じ音が複数の場所に存在しているのです。
これが「異弦同音」です。文字通り異なる弦に存在する同じ高さの音です。
ここから次の方程式が成立します。開放弦は0フレットとします。
「X弦のYフレットの音=X弦の隣の太い方の弦のY➕5フレットの音」
3弦の開放弦から音が高くなっていく時に発生します。具体的には以下のようになります。
・3弦の開放弦=4弦の5フレット(A)
・3弦の1フレット=4弦の6フレット(A#orB♭)
・3弦の2フレット=4弦の7フレット(B)
・3弦の3フレット=4弦の8フレット(C)
・3弦の4フレット=4弦の9フレット(C#orD♭)
以上の音は同じ高さの同じ音が3弦と4弦の2箇所に存在します。
次はもっと大変です。
更に音が上がって3弦の5フレットになると何とその音は2弦の開放弦と同じです。
つまりこれ以降は2、3、4弦の3箇所に同じ高さの同じ音が存在します。
・2弦の開放弦=3弦の5フレット=4弦の10フレット(D)
・2弦の1フレット=3弦の6フレット=4弦の11フレット(D#orE♭)
・2弦の2フレット=3弦の7フレット=4弦の12フレット(E)
・2弦の3フレット=3弦の8フレット=4弦の13フレット(F)
・2弦の4フレット=3弦の9フレット=4弦の14フレット(F#orG♭)
もう、想像がつきますね!
更に音が高くなって2弦の5フレットになると、その音は1弦の開放弦と同じです。
ついにこれ以降はベースの全ての弦、1、2、3、4弦に同じ高さの音が存在します。
ただし、どこまでも4本全て弦に同じ高さの音が存在するわけではなく、それはその楽器のフレット数によって変わります。標準的なエレキベースのフレット数は20フレットなのでここではその前提で解説します。
・1弦の開放弦=2弦の5フレット=3弦の10フレット=4弦の15フレット(G)
・1弦の1フレット=2弦の6フレット=3弦の11フレット=4弦の16フレット(G#orA♭)
・1弦の2フレット=2弦の7フレット=3弦の12フレット=4弦の17フレット(A)
・1弦の3フレット=2弦の8フレット=3弦の13フレット=4弦の18フレット(A#orB♭)
・1弦の4フレット=2弦の9フレット=3弦の14フレット=4弦の19フレット(B)
・1弦の5フレット=2弦の10フレット=3弦の15フレット=4弦の20フレット(C)
上の6個の音は4本全ての弦に存在します。(フレット数が増えるとその数だけ他の弦に存在する数が増えます。)
ここまで説明すればもう理解してもらえると思いますが、これより高い1弦6フレットのC#orD♭の音からはもう4弦には存在しません。ここからは3弦の最終フレットまで1、2、3弦の3箇所に同じ高さの音が存在します。
ちなみに20フレットの場合だと、1弦10フレット=2弦15フレット=3弦20フレット(F)までです。
さらにこれより高い1弦11フレットのF#orG♭の音からはもう3弦にも、もちろん4弦にも存在しません。ここからは2弦の最終フレットまで1、2弦の2箇所に同じ高さの音が存在します。同様に20フレットの場合だと1弦15フレット=2弦20フレット(A#orB♭)までです。
1弦16フレットのB〜1弦20フレットのD#orE♭の5つの音はフレット数が標準的な20フレットのベースの場合1弦にしか存在しません。
「異弦同音」…このベースの構造を理解してもらえましたか?
同じ高さの音が他の弦にも存在するという事は同じベースラインでも何通りものポジションや運指が存在するという事です。
数あるポジションの中で色々試行錯誤しながら自分のポジションや運指を考える行程がその人の音楽的成長を促すのです。
この「異弦同音」の存在を早い段階で理解してタブ譜だけに頼らずに色々なポジションを試して「ベーシスト」として成長してください!
今回はベーシストの佐藤さんに、ベースの弦・フレットと音の関係について初心者向けに解説してもらいました。異なる弦にも同じ音が存在する、ということが分かると運指の幅やアクセントの付け方が広がりますよね。
ぜひ参考にしてみてください。
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