【音楽ブロガー小澤剛が解説】Radio Juicyで今聴くべきアルバムBEST5

ブログでローファイヒップホップやアンビエントなどの曲を紹介している小澤さんお気に入りのレーベル「Radio Juicy」について解説してもらいました。作業用BGMにもおすすめ!

記事の解説者:小澤剛

会社員として勤めながら2012年からブログ「The Day's Sounds, the Day's Words」を更新する音楽ブロガー。

ブログ解説以来、一貫して好みの音楽・新しい音楽を発見・発掘している。主なジャンルはヒップホップ、エレクトロ、アンビエントなどなど。洒落ていながらもゆったりと聞ける曲が多くピックされていて、作業中のBGM発見にもおすすめ。

また、紹介されている曲はSoundCloudやBandcampで無料で聴くことが出来るものも多いのが特徴。気軽に訪れて、新たにお気に入りのアーティストを見つけてみましょう。

Radio Juicyとは?

Radio Juicyはドイツのハイデルベルグに拠点を置くラジオ局であり、ヒップホップ・レーベル。2011年に、創設者であるJanis KochとTim Treiberの2人がSoundcloudにチャンネルを立ち上げ、DJミックスを定期的にアップするようになったのが始まりです。

創設以降、のちにローファイ・ヒップホップと言われるようになる、いわゆる“チルなヒップホップ”を多くリリースしています。ローファイ・ヒップホップという言葉がなかったときから、その手の作品をリリースしてきたという観点で見ると、パイオニアと言っていいレーベルかもしれません。

Radio Juicyでおすすめの5曲

今回はRadio Juicyからリリースされた作品の中で、まずは聴いてほしい5作品を取り上げました。取り上げた5作品はすべてBandcampで聴くことができるので、ぜひチェックしてみてください。

Radio Juicyというだけではなく、ローファイ・ヒップホップをこれから聴いてみようという方の参考にもなればうれしいです。

1. Rio / Wun Two

個人的にはRadio Juicyの代表作、そしてローファイ・ヒップホップの名盤のひとつにも挙げられるのではないかと思っている、この作品からまずは紹介します。

ローファイな質感の音を基調にしたヒップホップに、ボサノヴァとブラジリアン・ジャズを混ぜたようなユニークなインストゥルメンタルを展開する、ドイツのビートメイカー、wun twoが2014年にリリースした作品です。

あくまでもユルく、どこまでもユルく……。ゆったりとしたテンポでリズムは刻まれ、聴いていると、南国のリゾート地へと導かれるかのような感覚を覚えます。倉庫に置いてあった古いレコードを再生したかのごとき粒の粗い音が時間の感覚を狂わせ、極上のチルアウト感を味わわせてくれます。

2. Maverick / Pawcut

ユルくメロウなジャジー・ヒップホップを存分に楽しめる、ドイツのビートメイカー、Pawcutの2015年作。前に出てこないゆったりとしたドラム、こじゃれたメロディのピアノ、ゆるやかに流れるホーン……。これらの音のコンビネーションがばっちり決まっています。

全体に漂うトロりととろけるような酩酊感、そしてチルアウト感……。これがもう最高。まったりとした気持ちに、おだやかな気持ちにさせくれます。大きなソファに身をしずめて、くつろいで聴きたくなります。インスゥルメンタルとラップの入った曲がバランスよく並ぶ、全体の流れのよさも見事です。

3. Turn Of RawTip / Yotaro

様々な国の才能を発掘するRadio Juicyからは、BudamunkやAru-2などといった人物との共演でも知られる、奈良出身のYoutaroが2014年に本作をリリースしています。Youtaroらしさが存分に発揮されているのと同時に、このレーベルらしい、チルアウト感たっぷりのインストゥルメンタル・ヒップホップを聴かせてくれています。

ゆったりとしたテンポを刻む低く沈み込んでいくリズムと煙のように霞んだ音、そしてあたたかなソウル・ミュージックの空気をいっぱいに吸い込んだ温もりのある音が、心地よい空間へと導きます。思わず穏やかな眠りに落ちていきそうです。

4. hibernature / invention_

この作品、そしてこのビートメイカーの特徴は、何と言ってもリリカルな美しいメロディのピアノ。nujabesの音楽が好きな人の心には必ずや響くことでしょう。カナダのinvention_なるビートメイカーが2017年にリリースした作品です。

ジャジーなテイストのインストゥルメンタル・ヒップホップと言えるのですが、ポスト・クラシカルに通じる静謐な空気を漂わせていて、これはヒップホップか?と思う瞬間も。真夜中に部屋でひっそりと鳴らして、音の心地よさと美しさにじっくり浸りたい作品です。

5. Dreams From The Shore / Moose DawaPsalm Trees

今回取り上げた5作品の中ではもっとも新しい2019年作。スウェーデン出身のMoose Dawaと南アフリカ出身のPsalm Treesの2人によるコラボレイト作品です。ローファイ・ヒップホップを軸にして、とびきりムーディーなジャズを絡めた、これ以上ないというほどに穏やかなインストゥルメンタルを展開しています。

ゆったりとしたテンポのリズムの上に美しく響く弦楽器、朗らかな雰囲気のピアノが乗っていく作りの曲が並んでいます。ジャケットに描かれている夕暮れ時の海辺の光景を音で描いたら、こういう音楽になった、そんな作品です。

総括

今回取り上げた5作品を並べてみて共通しているのは、やっぱり、チルアウト。心地よさに浸りたい時、ちょっと疲れた時、5作品のうちのどれかに耳を傾けてみてください。

音マグ編集部より一言

どのアルバムも作業中や運転中に流しておくのにピッタリです。ぜひ小澤さんのブログもチェックして、このジャンルの曲をもっと掘ってみてください。

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