音大で作曲を学び、現在はフリーのレコーディングエンジニア、サウンドプロデューサー、DTM講師として活動する潮さん。
「潮DTMブログ」では、初心者のおすすめの無料DAWという記事やコンプレッサー(Comp)の使い方など、「これどうすればいいんだろう?」という疑問を解決するお役立ち情報を発信している。Twitterでもブログ更新情報が確認可能。
ちなみにレコーディング、ミックス、DTM講師いずれのお仕事も引受中。まずはブログをチェックして、気軽に相談してみては?
みなさんレコーディングをする際は、いい音『高音質』で録音したいと考えると思います!
高音質でのレコーディングは品質の良いマイクなどの機材面を揃えることにより実現するのは当たり前のことですが、それなりのコストが必要になってしまいハードルが高くすぐに実現するのは難しかったりします。
しかし、高音質でのレコーディングは機材面以外にもDawの設定を変更するだけですぐに実現できます!もちろん高音質でレコーディングするという事は、PCに掛かる負荷も大きくなりデメリットが生じます。
代表的なデメリットが『レイテンシー』や『録音が停止してしまう』です。
まずはじめに、レコーディングの際の簡単な音の流れを紹介します。
【音の流れ】
実際に楽器などを演奏→インターフェースに入る→Dawで録音→インターフェースから音が出る→実際に聞く
レイテンシーとは『実際に楽器を演奏』~『実際に聞く』までに音が遅延してしまう事を言います。
このレイテンシーが仮に1秒だとすると『実際に楽器を演奏』してから1秒遅れて音が聞こえて来ることになります。1秒も遅れて聞こえたら間違いなく、まともな演奏は出来ません。
レコーディングの際にレイテンシーは必ず発生します。いかにレイテンシーを小さく抑え、演奏時に気にならない位まで設定できるかが重要になってきます!
上記の内容で高音質を実現するために生じる、デメリット『レイテンシー』が如何に厄介か分かったと思います。
では具体的にどのように高音質で低レイテンシーを実現させるDaw設定について紹介していきます!今回、設定を行う箇所は全部で3箇所『サンプリングレート』『Bit数』『バッファサイズ』です。
・高音質にする設定『サンプリングレート』『Bit数』
・レイテンシーを調整する『バッファサイズ』
サンプリングレートとは1秒間のサンプル数を表します。詳しく掘り下げてしまうと、かなり専門用語が多く難しい内容なので、簡単なイメージで紹介します。
誰しも1度はノート端っこでパラパラ漫画描いたことありませんか?
棒立ちの人がジャンプして着地するパラパラ漫画だとした時、『10枚で表現』するのに比べて『100枚で表現』した方が滑らかな動きになって高品質なパラパラ漫画になりますよね!
しかし、高品質にはなりますが『10枚描く』のに比べて『100枚描く』方が大変ですよね?
パラパラ漫画とサンプリングレートも似た話で、『1秒に何コマで録音するか』ということです。
サンプリングレートを大きく設定すれば高品質に録音できます。しかし同時にそれだけ労力(PCに負荷/データ量の増加)が発生します。
実際はもっと複雑が事が行われているのですが、はじめの方はこのイメージで覚えておけば十分です!(本格的に学びたい方は『サンプリングレート』で検索してみてください!)
では実際にサンプリングレートを設定していくのですが、具体的にどれに設定すれば良いのかという話です!
DTMのサンプリングレートには『44.1kHz』『48kHz』『96khz』…とあるのですが、音楽の基本(標準規格)は『44.1kHz』です。
なぜ『44.1kHz』が標準かというと、CDが『44.1kHz』のデータしか書き込めないからです。
『48kHz』以上のサンプリングレートでレコーディングしてCDに書き込む際はデータを変換する必要があります。
また補足として映像の音声は『48kHz』が標準規格になります。
このことを踏まえて、はじめの方は『44.1kHz』『48kHz』が無難です!
それ以上になると負荷やデータ量も増えるので自分のPCのスペック、レイテンシーの発生具合を考慮しながら設定していく事をお勧めします!
Bit数を説明し始めると難しい内容になってしまうので、一般的によく使われる『解像度』と表現させてもらいます。
またイメージで申し訳ないのですが、安物デジカメの写真とプロ仕様の一眼レフカメラで同じ写真をとった時、一眼レフカメラの方が画質(解像度)高く綺麗でクリアに撮る事ができます。一方デジカメの方は画質(解像度)が荒く大雑把な写真になると思います。
このBit数を上げることにより、音の解像度を上げる(高音質)にレコーディングできます!
Bit数もサンプリングレート同様に設定を上げればPCに負荷/データ量の増加が発生します。
では実際にBit数を設定していくのですが、こちらも音楽業界の標準規格があります。
音楽業界の標準規格は『16 Bit』です。Bit数もサンプリングレート同様にCDの規格が『16 Bit』しか入りません。
『16 Bit』以外でレコーディングしてCDに書き込む際はデータ変換が必要になります。
この事を踏まえて『16 Bit』『24 Bit』が無難だと思います。
バッファサイズとはデータを溜めておく領域のことです。
ここを設定することにより、PCの負荷を下げたり、レイテンシーを最小限に抑える事ができます!
バッファサイズもイメージでしやすいと思うので紹介していきます。
部屋の中に100人の人を入れます。『A君部屋から出てきてください』と言った時に、人が多く出でくるのが大変で時間がかかる(レイテンシーが大きい)。しかし100人もいれば多くの情報があるので欲しい情報が早く手に入る(PCの負荷が小さい)
逆に、部屋の中に5人だと、『A君部屋から出てきてください』と言った時に、人も少なく早く部屋から出れる(レイテンシーが小さい)。しかし5人しかいないので情報量が少なく欲しい情報が中々手に入らない(PCの負荷が大きい)
上記のイメージの人の数が『バッファサイズ』だと思ってください!
バッファサイズに関しては使ってるPC等で設定が変わってくるため一概にこれに設定すれば良いというのはありません。
そのため設定の際の参考などを掲載しておきます!
・『バッファサイズが大きい』レイテンシーが大きい / PC負荷が小さい
・『バッファサイズが小さい』レイテンシーが小さい / PC負荷が大きい
上記のことを踏まえてレコーディングの際は『バッファサイズを小さく』してMIXの際は『バッファサイズを大きく』する。
バッファサイズを小さくする場合はPC負荷が増えるため、フリーズや録音が停止してしまう事もあるので極端な設定はせず様子を見ながら徐々に設定して見てください!
バッファサイズで問題を解消できる範囲は限られているので、バッファサイズで解消できない場合は他の設定(サンプリングレート / Bit数 / etc…)を見直すと良いでしょう。
高音質で低レイテンシーにするためのDaw設定について解説していきました。
・音楽の標準規格はCDの44.1kHz / 16 Bit
・レイテンシー / PC負荷はバッファサイズで調整可能
このDaw設定に関しては、使用しているPCスペックに依存してしまうので、ご自身のPCとよく相談しながら設定して見てください!!
DTMブロガーの潮さんは現役でRec/Mixの仕事を引き受けているという事もあり、レコーディングにまつわる知識を解説してもらいました。
レイテンシ、サンプリングレート、Bit数、バッファサイズいずれも難しいですがDTMに取り組む上では避けて通れない道です。本記事で潮さんが用いたイメージ(とても分かりやすい!)を参考に、少しずつ理解していきましょう!
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