15歳でベースを初め、現在はエレキベース、アコースティック、アップライトを弾きこなす兼業ベーシスト。所属するバンド「キャタ・ザ・シャドラックと不敵な楽団」での活動に加え、サポートベーシストやレコーディング、ベーシストのカウンセリングにも取り組む。
ベースを始めたころに最も影響を受けたのはV系バンド、その後パンク、ロックを経て、様々なジャンルに精通。
自身が運営する「ヒゲメガブログ」では、ベーシストに役立つ音作りや機材などの解説はもちろん、ライブ出演情報やプライベートのこと(家族との生活など)を記録している。
はじめましてこんにちは。ベーシストのワサダと申します。
本日は、「ベースにおけるエフェクターについて」というテーマで、ベース初心者向けにわたしなりの考えを語っていきたいと思います。
ベースでエフェクターを使うことは、ギターに比べると一般的でないため、ピンと来ない方もおられるかも知れません。
しかし近年では、ベース用エフェクターの種類も増え、ベーシストでもギタリスト並みの大きなエフェクターボードを足元に置くようなプレイヤーも見られるようになり、ベースでのエフェクター使用は以前に比べるとポピュラーになってきていると感じます。
そこで、まず「エフェクターはどんな時に使うのか」というところから解説します。
エフェクターとは、ベースの音を変化させる道具です。当たり前ですが、使わなくても音は出ます(笑)なので、ベースを演奏する上で不可欠というワケではありません。
基本的には「積極的な音の変化が必要とされる時」に使う、というのが正解ですね。
ベースでエフェクターを使うと、モノによりますが低音感が薄れてしまうことがままあるので、やみくもに使ってしまうと「低音で楽曲やサウンドのボトムを支える」というベースの重要な役割が果たせなくなってしまいます。
そのため、明確な目的を持って使用する、というのが大事です。
※自分の音がイマイチ気に入らない、もっと詰めた音作りをしたいというような場合に使う、音を補正する方向のエフェクターもありますが、初心者向けでないためここでは割愛させていただきます。
では、「音の変化が必要とされる」のはどんな時かというと。
1、バンドサウンドの中でベースを目立たせたい
2、楽曲に広がりや彩りを加えたい
というケースが挙げられます。
以下、3種類のエフェクターを紹介しつつ、使いどころなどを解説していきます。
まずは「歪み(ひずみ)」から。
これは、アンプへ入力した信号がデカすぎて音が割れてしまったのを再現したエフェクターです。
ザクザク、バリバリとした、いかにもエレキなサウンドで、ギターでもベースでも一番ポピュラーと言える存在です。
派手な音なので、ベースで始まるイントロやソロなど、ベースを聴かせたい、「ここぞ!」という場面で活躍します。
上記の1、のケースですね。
また、低音を損なわない設定で歪ませ、曲を通してかけっぱなしでドライヴ感を強調したり、ギターソロのバッキングでオンにして厚みを加えたり、音量を少し持ち上げる設定で、アウトロでオンにし曲の盛り上がりを演出する、などの使い方も効果的です。
歪みベースの名手は、最近復活したナンバーガールの中尾憲太郎氏をはじめ国内外にたくさんいますが、個人的にはBEN FOLDS FIVEのロバート・スレッジがお気に入りです。
ピアノ、ベース、ドラムのシンプルなアンサンブルの中で、クリーントーンと歪みサウンドを巧みに使い分け、楽曲のダイナミクスを操る表現力は圧巻。
彼は、歪み界では超有名な「ビッグマフ」というエフェクターを愛用しているようです。カッコいいので、聴いたことのない方はぜひチェックしてみてください!
こちらはいわゆる「空間系」、音を揺らすことによって厚みや奥行きを加えるエフェクターです。主に上記2、のケースで使います。
何となく地味なイメージですが、うまく使えばその実、かなりの存在感があります。足元に置いている人も意外と多いんではないですかね。
わたし自身も、歪みの次によく使うのがこのコーラスです。
ハイポジションでのメロディアスなプレイと相性バツグン。他パートが静かになるセクションなどで、ベースソロ的なフレーズにさりげなくかけてあげると、楽曲の広がりに一役買うこと間違いナシ。
それからちょっぴり高等テクニックになりますが、深めにコーラスをかけて和音弾きをすれば、ベース一本のみでバラード曲のバッキング、なんてことも可能。
このエフェクターが印象的に使われている曲を紹介しますと、まず思いつくのが往年のスピッツの名曲「チェリー」です。
2番後の間奏で、コーラスのかかったベースフレーズが出てくるのですが、場面展開のきっかけとしてめちゃくちゃ効果的に機能しています。
最後はこちら、オートワウ。その名の通り、ベースの音に「ワウワウ」としゃべっているような効果を与えます。
ギターでは足で踏んで上下させるペダル型が有名ですが、ベースではタッチに自動的にエフェクトがかかるものが主流です。
エンヴェロープフィルターとも呼ばれます。
休符が多めのファンキーなフレーズなどと合わせてよく使われ、セクションの雰囲気をぱっと変えたいときなどに使うと効果的です。これも上記2、のケースですね。
ピンポイントでかけることが多い、いわゆる「飛び道具」と呼ばれる部類に入るエフェクターではあるものの、低音感が薄まらないよう気を使えばバッキングでも使えます。
これもベースに使われるエフェクターの中では非常に人気が高いですね。
どことなくコミカルなサウンドで、弾いているだけで楽しくなってくるので、ベーシストなら一度は使ってみたいエフェクター、とも言えるかもしれません。
わたしも大好きで、自分のバンドなどではスキあらばついかけたくなっちゃいます。使いどころはもちろん選びますけどね(笑)。
このオートワウを使った有名曲といえば、Red Hot Chili Peppersの「Coffee Shop」。バンドマンはみんな好きですよね、レッチリ(笑)。
チャカポコとしたワウをかけて弾き倒すフリーのスラップソロが爽快!ソロでオンにして派手なサウンドにするのもオススメの使い方です。
と、3つばかり紹介してきましたが、ベースでのエフェクターの役割や使い方について、なんとなくご理解いただけたでしょうか。
興味を持ったものを楽器屋さんで試奏してみるのもいいですし、最近ではリハーサルスタジオで無料レンタルできるものなどもありますので、そういったところからエフェクターへの第一歩を踏み出してみても良いと思います。
また、最後に少し余談になりますが、初心者の方の声で「エフェクターを買おうと思いますが、最初は何を選べばよいですか?」というのを聞くことがあります。
これに対するわたしの答えは、「必要なものを買いましょう!」です(笑)。
とは言えこれでは意地悪すぎるので(笑)、「特に必要はないけど何となくエフェクターを使ってみたい」という方には、お値段が安めなマルチエフェクターをオススメします。
音質は値段なりですが様々な種類のエフェクトが入っているので、それぞれの効果を知ることができたり、試してみることで必要なものが分かったりと、便利です。
マルチにはリズムマシンやヘッドフォンアウトなど、自宅練習に役立つ機能が付いているものもありますし、そういった用途でもオススメです。
ただ単に、色々エフェクトをかけて遊ぶのも楽しいですしね(笑)。
それではエフェクターもお供に、ぜひ楽しいベースライフを!
ワサダでした。
「ヒゲメガブログ」を運営する現役ベーシストのワサダさんに、初心者ベーシスト向けのエフェクター解説記事を執筆して頂きました!
記事冒頭でも記載されていたように、エフェクターといえばギター、と考えがちですが実はベースでも用いられるのです。ワサダさんが解説していた3エフェクターを、本記事を参考に楽しく試してみてください!
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