音楽の専門学校を卒業し、現在はギターとDTMを用いて作曲を行う。埼玉を拠点とするバンド「Duck Slow Life」ではギターを担当。
ブログはギターバンド系の曲をDTMで制作したい方に特にフィットする内容。主に邦ロックバンド情報やギター・ブログ初心者に役立つ情報、機材レビューなどが掲載されています。
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私がDTMで曲を作り始めて間も無い頃、曲を作っている最中「何か音が安っぽいな」とか「楽器の音が軽いな」なんて悩みをずっと抱えていました。
そんな中、完成した楽曲を自分で聞いてみても【どこか物足りない】【薄っぺらい】そんな印象と疑問を抱えたまま、どこか納得のいかない曲を作る日々を送っていました。
DTMを使っている方なら、一度は感じたことがある経験ではないでしょうか?
そんな時に、私の悩みを解決してくれたのが「生演奏」です。
DTMでの生演奏とは、文字通り「人が演奏したもの」です。
よくカラオケなんかでも、曲の横に<生演奏><生音>なんて書いてあるのを目にするかと思います。カラオケの曲は、基本的に打ち込みの音(機械で演奏された音)だけで作られる事が多いですが、「生演奏」と書かれたものは、その名前の通り「人が実際に楽器を演奏している」という事です。
DTMでの楽曲制作では、ソフト内に入っている音源を使うパターンと、この「生演奏」を用いるパターンがあります。
そしてここからが本題です。じゃあ、「打ち込み」と「生演奏」って何が違うの?という話です。
私が打ち込みの演奏だけで曲を作っていた際に、ずっと抱えていた【どこか物足りない】という感覚。
楽曲に「生演奏」をとりいれた事によって、その【どこか物足りない】という感覚を解決できた理由・良かった点が3つあります。
これがやはり「生演奏」の一番の醍醐味ではないでしょうか?
機械で作られた打ち込みの演奏も、もちろん正確で聴きやすいですし、とても優秀な音だと思います。
しかし、寸分も狂うこと無く「常に同じリズム」「常に同じ強弱」という正確な演奏を、実際に人間が表現しようと思うと、現実的に難しい話でもあります。
「同じ演奏が機械的にずっと続くという事」それはやはり、どこかで楽曲に違和感が出る原因の一つなのかもしれません。
対して、実際に人間が演奏する「生演奏」では、人間らしい「リズムの多少のズレ」「繊細な音の強弱のつけ方」など、この多少の”人間らしさ”が、楽曲に生々しさを与え、人間味のある演奏にしてくれます。
私がずっと抱えていた【どこか物足りない】という感覚の正体は、この「人間味のある演奏」でした。「完璧すぎる機械の演奏」文字だけ見ればとても便利そうで最強な気がしますが、それが、逆に楽曲の良さを殺してしまう時もある。という事です。
音圧とは、いわゆる「音の厚み」です。
とは言っても、音圧の違いというのはDTMを始めたばかりでは、その違いを判断するのは少し難しいかと思います。なので、すごく簡単に言うのであれば「音の迫力」の事です。
楽器の演奏には、「倍音」というものが存在します。分かりやすく言うなら、「隠された音」です。
実際に耳では聞き取りづらいですが、演奏で鳴らした音にはこの「倍音」も含まれて一緒に鳴っています。
もちろん打ち込みの演奏でも迫力が出ない事はないですが、「生演奏」の方が倍音なども露骨に含まれるので、必然的に音に厚みもでます。
例えば、弦楽器なら「弦が擦れる音」や「共鳴して他の弦も微妙に鳴ったりする音」など。この、"楽譜にすれば実際載らない音”「隠された音」が、音に迫力を出してくれる要因の一つでもあります。
冒頭でも触れた、私が曲作りの最中に感じていた【薄っぺらい】という感覚の正体は、この、「楽器の音圧」でした。
これに関しては、楽器によって異なりますが、特に、弦楽器の場合は「打ち込みの演奏」よりも「生演奏」の方が圧倒的に作業効率が増します。
打ち込みというのは、一音一音自分で音を足していき、機械に演奏をさせる。という事ですが、特に「ギター」などは、楽曲に使用される頻度が多い楽器です。
最大で6本の弦の音が同時に鳴ったりしますが、これを打ち込みでしっかり表現しようとすると、まず6本の弦の音を打ち込み、その一本一本に強弱をつけ、また、一つ一つの弦が鳴るタイミングも全て違うのでそれを調整して、、、など、途方もない細かい作業に追われる事になります。
そして、「スライド」「チョーキング」「ビブラート」などの特殊な奏法もたくさん存在するので、DTMを始めたばかりでそれらを表現しようと思うと、これもまた大変で骨の折れる作業です。
そんな時に「生演奏」が出来れば、そんな細かい作業も無くなるので、作業効率が何倍にも上がることは言うまでもないと思います。
ドラムやオーケストラ楽器などに関しては、レコーディングの難易度も高く、「生演奏」というハードルが高いので、打ち込みの方が効率が良かったりしますが、ピアノ・ギター・ベースなどの楽器は、実際に楽器を演奏をした方が、効率良く楽曲制作を進めれると思います。
今回、生演奏の良さを幾つかご紹介しましたが、必ずしも「生演奏の方が良い」というわけではありません。
先ほども言った通り、楽器や曲によって演奏やレコーディングの難易度も大きく変わってきます。
「打ち込み」と「生演奏」を効率よく使い分ける事が出来れば、DTMでの楽曲制作の幅も大きく広がるのではないでしょうか?
また「”生演奏をとりいれる”とは言っても、楽器が弾けなければどうしようもないじゃないか。」と思う方もいると思いますが、まさしくその通りです。もちろん、「弾ける方にお願いする」という手段でもとても良いと思います。
私がDTMを始めた頃は、ろくに楽器も演奏できない状態でしたが、より良い曲作りを目指すため、20歳を超えてからギターを習い始めました。
始めは、初心者が使うような「パワーコード」という奏法だけしか演奏が出来ませんでしたが、それをDTMにとりいれた事によって、当時、DTM初心者の私でも分かるぐらい、曲が見違えるように良く聴こえました。
「楽器を始める」というのは少し勇気がいる行動かもしれません。しかし、その一歩が踏み出せたなら、DTMの世界がより広がっていくと思っています。
ぜひDTMに「生演奏」を取り入れてみてはいかがでしょうか?
YouTubeで、主にDTMで作曲をしているプロのミュージシャンの作業風景を見てみると、現場にギターやベース、ドラムが置かれていることがあります。
実はDAW内蔵の音源だけではイマジネーションに間に合わず、生音をレコーディングして作曲に素材として用いているわけですね。「こんな音、パソコンにあるか!?」と思ったらそれは生演奏音源かもしれません。
あつさんの、とても参考になる解説でした!
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