埼玉県を拠点とするプロのドラマー。ミュージシャンのライブサポート、レコーディングなどに参加したり、自身で音楽イベントを企画したりしている。公式サイトでも参加作品やいくつかの演奏動画をチェックできる。
ドラムレッスンも行っています。ポップスやロックなどの定番ジャンルはもちろん、ファンク・ジャズ・メタル・テクノなどにも精通しているため、趣味でドラムを始めたばかりの方はもちろん、ジャズ研究会やビックバンドなどのドラマーも満足のいくレッスンを提供しています。
ドラマーが知っておくべき基礎知識を公式サイトの雑記帳でまとめているのでそちらもチェックしておきましょう。
ドラムに取り組む中で「シンプルな練習こそ上達への近道」という言葉を耳にすることは多いでしょう。
確かに、基礎の力が身に付いて無いと心地よい音楽を演奏するのは難しいと考えられます。また、世の中の歌もの系や吹奏楽部系の曲に使われているドラムのリズムはシンプルなパターンが大部分を占めており、比較的簡単な音符で楽譜に書き表せそうなものが主流です。
普段、皆様がレッスンや音楽系の部活に取り組む中で、メトロノームを鳴らした上でひたすら楽譜に記されたシンプルな音符(パターン)を練習パッドで叩かされる瞬間・経験も多々あるでしょう。
一方、基本的なパターンにばかり焦点を当てる練習では、なかなか演奏者としての視野を広げるのは難しいと考えられます。
もちろん、楽器を演奏する上での理想や目標は人によって少しずつ異なりますし、練習方法に完全な正解はありません。しかし、毎日同じような練習を繰り返しているのみでは得られるものは限られてしまうでしょう。
そこで、今回ご紹介させて頂くのがドラムソロのコピーです。ここでは、ジャズやファンク系の楽曲に登場するドラムソロをコピーすることによって8ビートや16ビートを初めとするロックやポップス等のバッキングの質の向上に繋がる事柄を例に、ドラム初心者に知ってもらいたいドラムソロをコピーする大切さについて記していきます。
多くの場合、ドラムソロでは4分音符や8分音符のような比較的簡単な音符から、16分音符や32分音符のような細かい音符まで様々な長さの音符が用いられます。
そのため、コピーを通じてドラムアレンジのコツを習得しやすくなると言えます。
ドラムソロでは16分音符が並ぶ中に32分音符が組み合わさる等、細かい音符の連続で構成される場面も多く見受けられます。
このような複雑に入り組む細かい音符を練習することで、セッションやバンドの中でシンプルなビートを叩く際において余裕が出来ると考えられます。
ドラムソロではスネアやタムのアクセントに混じってゴーストノートのような細かくて小さい音で隙間を埋める手法が多く見受けられます。
大きい音の中に混じって出てくる細かい音を練習することで、ゴーストノートやフラム等の質が上がると考えられます。
ドラムはピアノやギターとは異なり、明確な音程はありません。しかし、ドラムソロの中では、シンバル系から太鼓系までドラムセット全体を用いてまるでメロディを奏でるかのような場面に遭遇することが多々あります。
そのため、自然とドラムセット全体への理解が深まります。
ドラムソロでは、ビートを刻むときのような同じパターンでのループがほとんど無く、叩く音が次々に移動する場面が多くを占めます。
このような不規則に入り組む音符を練習することで、タム回し等のフィルインの質の向上に繋がると言えます。
ドラムソロをコピーする際にはランダムに並ぶ様々な長さ・大きさの音符を記憶する必要が出てきます。
そのため、楽譜上において不規則に並ぶ音符のインプット・アウトプットの訓練に繋がり、楽曲のキメ等の記憶力の向上に役立つと考えられます。
例えば、Steely Danのアルバム『Aja』の2曲目「Aja」の曲中においてSteve Gadd氏が叩いているドラムソロを聴いてみると、大小様々な音符がランダムに混ざっているのが分かります。
また、スネアやバスドラムだけでなく、タムやシンバルなどドラムセット全体を万遍なく使用して叩いており、コピーに最適なソロの1つであると考えられます。
同様の例として、日本のドラマー・神保彰さんが参加したCASIOPEAのアルバム『MINT JAMS』収録の「Domino Line」での曲中のドラムソロもコピーに適していると考えられます。まずは最初の数小節だけでも取り組んでみて、ソロの雰囲気を把握するだけでも良い練習になるでしょう。
ビートを良くしたい為にビートだけの練習を闇雲に行っていても、その先に見えてくるものは限定されてしまうでしょう。とはいえ、ドラムソロのコピーは少し難易度の高い作業です。まずは演奏動画や音源のソロ部分を耳で聴き取りながら譜面に書き起こしてみる練習から始めてみるのがおすすめのやり方かもしれません。
ドラムソロのほか、手数の多いフィルインや手順が難しい基礎練習など、様々な練習に取り組む事によってバッキングの安定感や表現力の上達、ドラムアレンジのコツの習得に繋がってくると考えられます。
ドラムに限らず、楽器の演奏技術を上達させるためには、出来るだけ長い期間練習が続かないと元も子もありません。練習が長続きしないのであれば、日々行っている内容にやりがいを感じられず、モチベーションが下がってしまっている可能性が高いと考えられます。
例えば、ひたすらシングルストロークばかりを続けていても飽きてしまう事が多いかもしれません。また、無計画に同じフレーズばかり反復練習していても退屈になってしまうかもしれません。
楽しくなければ続かないのは人間として当然のことであり、そのような状態で練習を継続するのは極めて難しいです。
そこで、楽しめる練習内容の一例として、自分の好きなドラマーのドラムソロのコピーが挙げられるでしょう。もちろん、焦って完璧にコピーするのではなく、自分のペースで聴き取りつつ譜面に書き起こしながら徐々に叩いていくのも立派な練習と言えます。
あるいは、コピーではなく、ひたすら色々なテンポでクリックを鳴らしながら自分なりに即興でドラムソロを叩いてみるのも良いかもしれません。
まずは練習内容をライブやセッションと同様に楽しむことを念頭に置き、その過程で色々な課題に気付く事が大切であると考えられます。
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